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讃岐のり染職人 大川原 誠人さん

讃岐の伝統文化と共に歩んで210余年

香川県の伝統工芸『讃岐のり染』。その技法を守り継ぐ大川原染色本舗は文化元年(1804年)創業、大川原誠人さんは7代目です。
「のり染は全国にありますが、『讃岐のり染』は、獅子舞の油単(ゆたん)やうどん屋ののれんなど、讃岐特有の文化に育まれたことから、色鮮やかでバラエティに富んだ図柄が多いという特徴があります」


のり染では、餅米に塩や石灰を混ぜて作った「のり」を防染剤として、染めたくない部分に置いていきます。

その際、型紙を使う方法もありますが、『讃岐のり染』は主に筒袋に入れた赤いのりを絞り出していく「筒描(つつがき)」という技法で行います。

職人の道と作家の道
7代目が守り継ぐ伝統

子どもの頃は、後継ぎとして期待されることに反発していたという大川原さん。高校生の時、その気持ちに変化をもたらす出来事がありました。「父がアメリカの大学に講師として招かれたんです。そこで家の仕事の価値に気づき、継いでもいいかなと思うようになりました」

芸術系の大学へ進み、その後、家業へ。しかし、ここで思いもよらないギャップに戸惑うことに。「芸術と職人の仕事は、やることはよく似ているのですが考え方が180度違います。芸術は自己表現で、職人の仕事はお客さんの要望を形にすること。自分を出しちゃダメなんです。なので、家の仕事と自分の作品はずっと分けて作ってきましたが、最近はうまく融合させられるようになってきました」

大川原さんは、伝統的な技法や図柄を使った、現代の暮らしに合うアイテムにも力を入れています。「伝統は止まってしまうとダメになります。今の生活に合わせていかなければ、伝統を残すこともできなくなります」
そう話す大川原さんにとっての「暮らしを慈しむ」とは?と伺ってみました。
「暮らしを愛すること、寄り添うことだと思います」

讃岐のり染職人 大川原 誠人さん

京都市立芸術大学大学院工芸専攻染織修了。讃岐のり染の伝統を守る、1804年創業大川原染色本舗の7代目。作家として、アート作品や現代の暮らしに合うものづくりにも取り組んでいる。

大川原 誠人さんの作品は完売いたしました。