うつわ作家 清水なお子さん
伝統美を現代の暮らしに合わせた、温かみのあるうつわ。
うつわ作家・清水なお子さんは、大学時代に陶芸と出会い、卒業後に陶芸家の藤塚光男氏に三年半師事。その後独立し、現在は京都府亀岡市で作品づくりと向き合う毎日を送っています。
「きっちり線を引いたり、正確さが求められることが得意ではなかった私にとって、粘土に直接触れて形を作っていく陶芸の仕事は性に合っていたのかもしれませんね」とにこやかに語ってくれた清水さん。そのやさしい表情のように、作品は古典文様を使いながらも、現代の暮らしになじむ温かみと親しみのある絵付けが印象的です。
「古典の文様にはそれぞれに意味があるところが面白いんです。その意味をくみ取りながら、私なりにアレンジしていくことが作品づくりの面白さでもありますね」
自分も生活者であるからこそ生まれるかたち。
清水さんにとって至福の瞬間は、窯出しをする時。いつも完成形を想像しながら作ってはいるが、大きさや絵の雰囲気、色合いなどの微妙なニュアンスはできてみないとわからない。予想以上に良くなることもあれば、そうでないこともある。そこが陶芸の難しさでもあり、一番の魅力だそうです。
また、自分で料理をしている時に「こんな形やサイズのうつわがあればなぁ」と感じる、そんな生活者としての視点がうつわづくりのヒントになっていることも。「今を生きる人に寄り添える、暮らしの延長にあるような作品を作っていけたら」という清水さんの想いが、一つ一つの作品に表れています。清水さんの作品から漂うやさしい風合いは、日常の暮らしの中から生まれているのかもしれません。
最後に、清水さんにとっての「暮らしを慈しむ」とは?
「仕事が終わった後は、家族とご飯を食べ、山や畑などの自然を眺めて四季の移ろいを知る。そんな変わらない日常を送ることが幸せであり、慈しみだと思っています」
うつわ作家
清水 なお子さん
京都精華大学美術学部造形学科陶芸専攻卒業。古典文様を呉須や鉄を使い、柔らかく温かみのある絵柄で表現。京都府亀岡市に工房を構え、陶芸家として暮らしに寄り添うやさしい雰囲気のうつわを制作。